契約書の作り方・見方

契約とは?
  契約と契約書
  なぜ契約書を作成するのか?
契約の種類
  口頭契約と文書契約
  基本契約と個別契約
契約書の作り方
  最低限どんなことが記載されていなければならないか?
  契約書を作成する場合に問題となる点
   表題
   当事者
   前文
   目的・趣旨
   署名捺印・記名捺印
   実印か認印か?
   法人の場合の表示
   収入印紙
   連帯保証人
   公正証書による場合

契約とは?


「契約」とは、法律的に難しく言えば「法律行為」の一つです。「法律行為」とは、人が法律効果を発生させようとする行為を言います。法律行為の中でも「契約」は最も重要なもので、2つ以上の意思表示の合致により成立するものです。例えば、中古車の売買契約の場合、「この中古車を買う。」という「申込」と「この中古車を売る。」という「承諾」の2つの意思表示の合致により契約は成立します。
 

●契約と契約書
 
契約は、必ずしも文書によることは必要ではなく、口頭つまり口約束でも契約は成立します。例えば、私たちが、日常、八百屋さんで野菜や果物を買う場合には、もちろん契約書などは作りませんが、野菜や果物の売買契約が成立しているのです。
 
但し、契約の中には、特別に法律で文書によることが定められているものがあります。例えば、建築工事請負契約(建設業法19条)や割賦販売法に定める指定商品に関する月賦販売契約(割賦販売法4条)等については契約の書面化が義務付けられています。
 

●なぜ契約書を作成するのか?
 
このように、契約の成立には、原則として契約書は必要ではないのですが、契約の内容が複雑であったり重要であったりした場合には、契約書を作成することが重要です。言うまでもなく、口約束では、後日、当事者双方で内容に食い違いが出たりして、いわゆる「言った。言わない。」の問題が発生するからです。重要な契約について、契約書を作成していなかったり、作成していても不備があった場合には、往々にしてトラブルが発生し、裁判沙汰になったりすることがあります。
 
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契約の種類


●口頭契約と文書契約
 
口頭契約とは、文書等は作らずに当事者が一定の内容を合意した契約です。
 
これに対して、文書契約とは、当事者が契約書等の文書によって、一定の内容を合意した契約です。
 
先にも述べたように、契約は必ずしも文書によることは必要ではありませんが、口頭契約ですと、契約内容に争いが生じるおそれが大きいので、重要な契約については、文書によって行うことが必要となります。
 
●基本契約と個別契約
 
例えば、継続的に商品を仕入れる等の場合において、対象商品、契約期間、代金額、代金支払方法等の基本的な事項について、最初に基本取引契約書を作成しておくことがあります。このような契約を基本契約と言います。
 
基本契約に基づいて、日々の取引を行う際に、個々の取引ごとに合意されるのが、個別契約です。
 
実際の商取引では、個々の商品仕入れの際、注文書のFAXだけで済ましてしまい、いちいち個別契約書を作成することは余りないかもしれませんが、基本的事項に関する基本契約を結んでおけば、トラブルの際には有益です。
 
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契約書の作り方


契約書には最低限どんなことが記載されていなければならないでしょうか?
 
 一般的には、以下のようなことが記載されていることが必要です。
 
  • 成立日、有効期間
     
    契約はいつ成立したのか、合意内容はいつからいつまで拘束力を持つのか、等を確定するために必要です。
     
  • 誰が当事者か?
     
    契約は、誰と誰の間で成立したものかを確定させるために必要です。
     
  • 目的、趣旨は何か?
     
    その契約は、何を目的、趣旨としたものか、つまり、賃貸借をするためのものなのか、債権確保のためのものなのか、が明瞭にわかるものであることが必要です。
     
  • 契約の対象、目的物は何か?(ex.品名、単価、数量)
     
    例えば、売買契約ならば、売買の対象は何か、その品質はどのようなものでなければならないのか、単価はいくらか、数量はどのくらいか、納品方法はどうするのか、代金支払方法はどうするのか等が記載されていなければなりません。
     
  • 当事者の権利、義務は何か?


    契約が合意されたことにより、当事者はどのような権利を取得し、義務を負担するのかがはっきりとされていることが必要です。
     
以下、実際に契約書を作成する場合に問題となる点を具体的に述べます。
 

  • 表題
     
    契約書には、「不動産売買契約書」とか「金銭消費貸借契約書」とかいう表題がつけられていることがあります。その契約が何の契約なのか端的に示してあるので、分かり易く、契約内容を単純に表現できるのであれば、表題をつけることが望ましいと思います。
     
    しかし、契約の内容が複雑であったり特殊なものであったりする場合には何と表題をつけてよいかわからない場合もあります。そのような場合には例えば「基本契約書」とか単に「協定書」「合意書」とかいう表題をつけているような場合もあります。表題は、契約書に必ず記載されていなければならないものではありませんので、不正確な表題をつけるくらいなら、「協定書」とか「合意書」といった表題の方がよいでしょう。
     

  • 当事者
     
    契約の当事者は誰かがはっきりと表示されていることが必要です。
     
    問題となるのは、その契約の当事者が法人なのか個人なのかという点です。個人企業や中小企業の場合、法人と代表者個人とが一体となっているようなことがあると思いますが、契約上の当事者はどちらなのかははっきりさせる必要があります。
     
    契約書によっては、この点をはっきりさせるために、表題の次に当事者だけを表示しておくものもあります。
     

  • 前文


    前文は、その契約が何を目的として誰と誰の間で合意されたのかをわかりやすく表示した部分です。
     
    前文は、契約書に必ず必要というものではありませんが、契約書を分かり易くするために記載されることが多いようです。例えば、「甲と乙とは、本日、○○の売買につき次のとおり合意した。」などと記載する場合です。
     

  • 目的・趣旨


    契約書の第1条には「目的」という表題で、その契約が基本的に何を目的にしているのかを記載していることが多いようです。
     
    例えば、賃貸借契約の場合、「甲は乙に対し、別紙物件目録記載の建物を貸し渡し、乙はこれを借り受けた。」というような条項を設けています。
     

  • 署名捺印・記名捺印
     
    署名とは、自分で手書した氏名のことです。これに対して、記名とはゴム印やワープロで記載された氏名のことです。
     
    法律の中には「署名もしくは記名捺印」という文言が出てきますが、これは、法律では、署名が原則で(その場合にはハンコは要らない)、署名に代わるものとして記名プラス捺印でよろしい、ということなのです。
     
    もっとも、以上のことは、法律の建前であり、契約書を作成する際に、「署名さえもらったので、ハンコは不要」と考えるのは間違いです。契約書の真偽が裁判で争われるような場合には、その契約書が作成者の意思に基づき作成されたかどうかが問題となりますが、そのときには、署名だけでなくハンコを押したことが重要な証拠となります。
     
    したがって、契約書作成の際には、必ず、署名捺印または記名捺印が必要と考えるべきです。
     
    なお、契約書作成の際には、記名捺印ではなくできれば署名捺印をもらった方がよいでしょう。なぜなら、契約書の真偽が争いになった場合に、署名をしていればその人の意思に基づいて契約書が作成されたことが強く推定されるからです。但し、署名捺印をもらう場合には必ず目の前で署名してもらいましょう。そうでないと、その署名が本人のものかどうかわからないからです。この点は、特に後述の連帯保証人等で問題となることが多いのです。
     

  • 実印か認印か?


    実印とは、個人の場合は区役所等に印鑑登録してあるもの、法人の場合は法務局に印鑑届をしているものです。
     
    実印は、このような公に登録してある印鑑なので、契約書作成の際に実印をもらえればそれにこしたことはありませんが、たとえ認印でも契約の効力において何ら変わることはありません。認印であっても、その人が契約成立の意思に基づき捺印したものであれば立派に契約は成立します。
     

  • 法人の場合の表示


    契約の当事者が法人の場合、その署名や記名に当たっては、
     
     @会社の商号
     A代表資格
     B代表者の氏名
     
    の3つが明確に表示されていることが必要です。
     
    例えば、次のような表示になります。
     
     「○○株式会社
       代表取締役 甲野太郎」
     
    これに対して、当事者が個人の場合は、たとえその人が会社の代表取締役であったとしても、会社の商号や肩書きを記載すると誤解が生じます。個人として契約する場合には、住所と氏名だけが表示されるべきです。
     
    「○○株式会社 甲野太郎」などという表示は、当事者が法人なのか個人なのかが不明なので絶対避けるべきです。
     

  • 収入印紙


    契約の効力には直接関係ありませんが、印紙税法上、契約書等の文書には一定の収入印紙を貼付することが定められています。
     

  • 連帯保証人


    契約の履行に不安があるような場合には、一方の当事者の債務につき、その当事者と連帯して責任を負う連帯保証人を契約上定めることがあります。
     
    連帯保証人については、実務上、しばしば、その連帯保証人とされた人が全く知らずに契約されていた、というケースがあります。連帯保証人を定めるときは、連帯保証人となる人に自署して捺印してもらうか、連帯保証人となることを承諾しているかを確認する必要があります。
     

  • 公正証書による場合
     
    契約違反があった場合、契約書があるからといって、直ちに、強制執行(つまり、相手方の財産を差し押さえて、競売すること)することはできません。裁判を行い、勝訴してから強制執行するのが原則です。
     
    但し、金銭債権の支払を求める場合に限って、契約を公正証書にしておけば、契約不履行があった場合、その公正証書に基づき、直ちに、強制執行することができます。
     
    また、公正証書にしておけば、契約が成立したという強い証拠力を得られますし、公正証書の日付には確定日付(確かに、その日に作成されたということ)としても効力があります。さらに、公正証書は、その原本が公証役場に保存されているので、紛失した場合で、後日、謄本の交付を受けることができます。
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